「たっだいまー」
語尾にハートをつけて帰ってきた仲間を、イーズは僅かに目を緩ませて迎えた。
「おかえりなさい」
「帰ってきたぜー!」
そう言って、ティキは大きな手をイーズの頭にポム、とおいた。髪の毛ごとクシャと撫でて、口許に笑みを浮かべる。彼の目は眼鏡に隠されていて、表情の全貌までは量れない。
けれども、人懐っこそうな言葉と笑みにイーズは安心するのだ。
「お土産取ってきてやったぞ」
そういうと、ティキはズボンのポケットの中から円いものを取り出した。ついている皮ひもを握り、イーズの目の前にかざしてやる。
それは、銀のペンダントだった。
ティキはイーズの手をとって、手の平の上にそっとペンダントを載せてやる。
「大事にしまっておけよ」
「いいの?」
「もちろん!お前への土産なんだからさ」
イーズは、手の中のペンダントを見つめた。自分の手にちょうど収まるほどの大きさのペンダント。どれだけの価値があるかは定かではないが、高価なものであるとは理解できた。
「ありがとう」
「どういたしまして!」
イーズは僅かに目元を緩ませる。ティキは口許に笑みを浮かべた。
「だあ!ティキ!俺たちには何もないのかよ!」
「腹減ったぞ!ティキ」
「わかってるってばあ」
仲間に怒鳴られて、ティキはエヘと笑う。
「おごったるから、どっかメシ屋に行こうぜ」
ティキはイーズの手をとり、仲間たちを促す。
メシ屋に行きがてら煙草をふかして、仲間のしょうもないジョークに笑ってやった。
見上げてくるイーズと時々視線を合わせた。手があたたかかった。
時折、仕事のことを思い出す。
つい先ほどまでベルギーで行っていた仕事だ。
脳裏を過ぎる鮮血の赤。
今は、こちらにいるのだと頭を振って意識を切り替える。
こっちがあって、こっちを楽しめるからこそ。
あっちを楽しめるのだから。