台所で大きな存在感を持つものは、冷蔵庫だと新八は思う。
これがなければ、今の食生活は無いと言っても過言ではないと思うし。
何より、高かった。
すぐさま価格に論点が行くのは、節約家だからだということにしておいて欲しい、なんて一人で思って、新八は低い唸りを発している冷凍庫を開けた。
そこには、いつも姉が買いだめしているハ//////ツがあるのが常だったのだが。
「・・・ない」
仕事終わりには必ずハーゲ///ッツ、の姉のハ/ーゲ////ツが無い。
姉は、数時間後には帰ってきてしまう。ないとわかれば、烈火のごとく怒りだし、就寝中の自分を起こして買いに行って来いと命令を下すのだろう。

「はあ・・・」
ため息ひとつ、財布を持って新八は出かける準備を始めた。
家から近いお店は、大江戸マートだ。
ただ近いだけで、安いとかそんなことは無い。
だからこそ、新八はハ//////ツを買うために、少し遠いスーパーへ出かける。
どこで買ったって一緒なのだから、どこまで行っても一緒だ。
徒歩だから交通費はかからないし、歩くのは苦にならない。
ゆっくりと流れる時間が、好ましくもある。

だから、今日は。
少し遠出して、あのスーパーに行ってみよう。
近くに、真選組のあるあそこ。
もしかしたら、あの人に会えるかも、しれないから。











中空に、月が鎮座していた。
まばらに照らされるは雲、銀に染まる庭は明るい。
「おや、土方さんどこに行かれるんでィ?」
屯所の一画で、沖田は出かけようとしている土方に声をかけた。
土方は、もう勤務時間では無いにもかかわらず隊服を纏い、手には刀を提げていた。
「マヨが切れたんだよ、マヨが」
「車で行かれるんでィ?すぐ近くにスーパーがあるでしょうに」
「安いところがあるんだよ」
沖田は口許にニヤリと笑みを浮かべ、それ以上は何も言わなかった。
わざわざ車に乗って“大江戸スーパー”まで行ってマヨを買ってくるという彼の行動など、お見通しなのだ。
そのまま、沖田は土方の背中を見据えて、
「甘酸っぱくって吐き気がすらァ」
悪辣な言葉を吐いた。
しかし、月に照らされた沖田の顔は笑みに溢れていた。
事態を楽しんでいる種の、笑みが。











タイトルの「逢瀬」果たせてませんがな!
・・・という、話。
新八は、真選組の前を通って屯所を眺めたり、土方さんは新八の家の前を通ってみたり、してる。


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