10.迷子




侵食されていく。
欲望が理性を凌駕してしまう。

見かけるたびに、抑えのきかなくなる逸る心を、どうすればいい?
話すたびに、征服したいともたげる心を、どうすればいい?

このような想いは、自分にはいらないはずだ。
恋だの愛だの、そんな幻想に振り回されてどうするのだ。

こんな想いなど離れていけばいい。
離れさせねばいけない。

自分が立っている位置すら覚束ないこの心もとなさから、脱却するのだ。



けれども、どうやって?

それすらわからない、惑いの中にいる。













まるで迷い子のように。
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